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「社会保障は性風俗に敗北した」を考える

「セックスワークサミット2017秋」レポート 前編

●性産業のみがリスクのある職場ではない

 ただ、手放しで性風俗で働くことを奨励しているわけではもちろんありません。働くことのリスク、例えば転職しづらくなる、履歴書に書けなくなる、現場で問題を抱えた時、搾取されたりした時に相談しづらいというリスクがあります。はじめはガールズバーで働き始めた子が、さらに過酷な現場に従事せざるを得なくなることもある。

 言葉は悪いですが、性風俗の世界には女性の賞味期限みたいなものがあるので、そこを過ぎると、さらにもっと過酷なことを求められたり、危険なことが伴う中で働いていかなければいけない。でも「自分ではこの仕事しかできない」と自分で自分を洗脳してしまったり、職場で思いこまされたり、なかなか抜け出せなくなる人も少なくありません。性風俗で働く女性から、予期せぬ妊娠や中絶、暴力、薬物の使用などの相談をもらったことがあります。

 ただ、性産業のみがリスクのある職場ではない。職場でのトラブルや搾取に関するゆずりはへの相談で、性風俗の仕事で働いている方が多いかというと、少ない。「こんなに多いんですよ」ということが言えたらいいのですが、一般の企業の中でも、本当にひどい労働環境で働かされているとか、こんな雇用条件でいいのか、と思うこともあります。性産業の仕事だけがリスクのある職場ではない、ということもお伝えしたいと思います。

イベントレポート〈後編〉へ続く。

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「セックスワーク・サミット2017冬 「つながる風俗女子」+シンポジウム「みんなでつくる『適正風俗』」(主催:一般社団法人ホワイトハンズ)が、2017年12月3日(日)に、東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターにて開催されます。

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坂爪 真吾

さかつめ しんご

1981年新潟市生まれ。一般社団法人ホワイトハンズ代表理事。東京大学文学部卒。



新しい「性の公共」をつくる、という理念の下、重度身体障害者に対する射精介助サービス、風俗店の待機部屋での無料生活・法律相談事業「風テラス」など、社会的な切り口で、現代の性問題の解決に取り組んでいる。2014年社会貢献者表彰、2015年新潟人間力大賞グランプリ受賞。著書に『セックスと障害者』(イースト新書)、『性風俗のいびつな現場』(ちくま新書)、『はじめての不倫学』(光文社新書)などがある。


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